退職するときは様々な手続きがあり、退職届を提出して手続き完了とはいきません。
不慣れな担当者なら、本来退職時に返却されるべきものを失念される場合もあります。
そこで、退職時に行う手続きと注意点をきちんと把握して、確認忘れによる手間や損がないようにしましょう!
会社へ返却するもの
退職時に会社へ返却するものは、主に次の4つになります。
健康保険証
健康保険証は退職日までしか使えません。
退職日の翌日に効力を失うので、保険証は会社に返却しましょう。
退職日は有休消化中で出勤しない場合は、保険証を郵送で会社に返却するよう指示があるかもしれません。返すタイミングについても会社に確認しましょう。
なお、次の職場で保険証を発行するのに大体2週間位かかります。
病院に行きたいときは退職して保険証を返却する前に、今の職場の保険証を使って病院に行った方が安心ですよ!
会社の身分証~名刺や社章、名札など
名刺や社章、名札など、社員の身分を証明するものは返却しましょう。
特に名刺は他の人が使えないからとシュレッダーする前に、総務など担当者に処分してよいか確認しましょう。
なぜかというと、処分したと言って名刺を持ち帰り、退職後に名刺を悪用して社員のふりをしたりするケースがあるからです。
変な疑いをかけられないように、退職時の名刺の取り扱いは十分に注意しましょう。
会社から支給された物品~制服や事務用品、スマホなど
会社から貸与されたスマホ、PC、制服などは返却しなければなりません。
また、事務用品も返却が必要です。ハサミやホチキス、のりなども所有権は会社にあるので持ち帰ったりせず返しましょう。
制服をオークションで販売転売したり、プライベートで制服を着た写真をSNSに上げて問題になったりすることがあります。
制服のある会社でお勤めの場合は制服の扱いはご注意ください。
社用PCや社用スマホの中にプライベートの情報が入っていないことも必ず確認しましょう。
なお、お客様とのメールのやり取りは、引継情報として削除してはいけないルールの会社もあります。社用メールの履歴は会社の指示に従った取り扱いが必要です。
会社の勤怠・セキュリティ用品~入館証、勤怠打刻ICカード
出勤するときに入館証や勤怠打刻ICカードをかざす場合は、勤怠確認のカードも返却が必要です。
有休消化で退職日と最終出勤日が異なる場合はいつ返却するのかを確認しましょう。
保険証とは異なり、出社しなければ使うことがないので最終出勤日に返却するのが一般的でしょう。
その他の備品と異なり、紛失すると大問題になります。
郵送で返却の時は、レターパックプラスなどの発送の追跡調査できるもので返却すると安心です。
退職手続で会社から受け取るもの
退職時に会社からもらい忘れがないように受け取るもの、受け取った後どう使うのかを確認していきます。
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証には雇用保険被保険者番号という、あなただけの番号が書かれています。A4サイズの1/3ほどの細長い紙です。
入社手続き後にすぐ渡されており、退職時には渡されない場合もあります。
転職先で雇用保険被保険者番号を提出する必要があるので、うっかり破棄してしまわないようにお気を付けください。
ただし、どうしてもなくしてしまって見つからない・前職に連絡しにくい…。という場合は転職先にまずは相談してみましょう。
会社があなたの雇用保険加入手続きする際に、前職の会社名と勤務期間、名前、生年月日をハローワークに届け出ることであなたの雇用保険被保険者番号を見つけてくれる場合もあります。
年金手帳
年金手帳については、基礎年金番号を会社に伝えさえすれば返却されているかもしれません。
手元に年金手帳がない場合は会社に預けている可能性があるので確認しましょう。
万が一会社にも手元にもない場合は、年金手帳は再発行することができます。
転職先で相談してみてください。現在は、マイナンバーで健康保険と厚生年金の加入手続きができるので、年金手帳がない(基礎年金番号が分からない)場合でも、保険証の発行は行えます。
離職票
離職票は退職後に失業給付金(一般的には「失業保険」といわれることも)を貰うための書類です。
ハローワークに行って離職票を提出すると、失業給付金がいくらか、いつから何日分もらえるかが決まる重要な書類です。
離職票は退職日の翌日以降に発行できる書類です。
原則として最後の給料が決まっていないと離職票は完成しないので、翌月払の給料の場合、離職票の発行が遅くなる場合があります。
再就職先が決まっておらず失業給付金をもらいたい場合は退職前に、いつ頃手元に離職票が届くのか確認しましょう。
離職票が手元にないと、失業給付金をもらう手続きができないので早めに離職票が欲しいことも伝えましょう。
なお、法律上は会社は、従業員の退職日から10日以内に届け出をしなければならないとされています。
再就職先が決まっている場合でも必ず離職票をもらいましょう。
転職先をすぐに退職してしまったら、前職の離職票を使って失業給付金をもらう手続きを行える場合があります。
源泉徴収票
源泉徴収票は、転職先で年末調整をしてもらうために使います。
もしも年末に再就職しない場合や自営業を始めた場合は、翌年の2月15日から3月15日までに自分で確定申告をしなければなりません。
源泉徴収票は最後の給料が決まってからでないと発行することができません。
会社によっては給料計算を外注している場合もあり、すぐには源泉徴収票を出してもらえないことがあります。
事前に源泉徴収票をいつ頃もらえるのか確認した上で、手元に届かなければ、会社に連絡しましょう。源泉徴収票は必ずもらいましょう!
任意継続被保険者資格取得申出書
任意継続被保険者資格取得申出書の手続きすることで、退職後も現在の健康保険を継続することができます。
退職後20日以内に手続きをしないと申請することができなくなりますのでご注意ください。
空白期間なく再就職し、新しい職場で健康保険に入る場合は必要ない書類です。
退職日の翌日から次の職場で勤務が決まっていないときは、念のためもらっておきましょう。
健康保険被保険者資格喪失証明書
健康保険被保険者資格喪失証明書は、
- 退職後に市町村の窓口で、国民健康保険に加入
- 扶養家族として、家族(同居の両親など)の勤め先で健康保険に加入
する場合に使います。
任意継続する場合や失業期間なくすぐに転職先で健康保険に入る場合は使いません。ただし、健康保険を抜けた日を確認できる書類は他にないので念のためもらっておきましょう。
退職理由証明書(※もらわなくてもよい)
まれに転職活動中に退職理由証明書の提出を求められることがあります。
退職理由証明書は退職日、退職理由のほか、退職時の職位などを証明する書類です。退職後、必要になったら作成をお願いしましょう。
間なく転職先で勤務が決まっている場合の追加手続き
すぐに再就職するときは1つ調整するとよいことがあります。
住民税の切り替え手続き
今の職場に転職先がバレても構わなければ、住民税の天引き先を新しい職場に切り替えてもらうお願いをすることが可能です。
この手続きで、新しい職場でも引き続き給料から住民税を天引きしてもらえます。
自分で納付するより絶対楽です。
事前に転職先に住民税の天引きについて確認し、指示を仰ぎましょう。
再就職まで期間が空く場合の追加手続き
再就職まで期間が空く場合は次の手続きが必要になります。
健康保険の手続き
先ほども紹介した通り、健康保険に加入する必要があります。
健康保険に入っていないと保険証がないので、病院の治療費が3割から10割負担になってしまいます。けがや病気の心配ないと言わず、必ず保険には加入しましょう。
退職後の保険は原則として
- 健康保険任意継続
- 市町村の国民健康保険に加入
- 同居する家族の扶養になり家族として保険証を貰う
の3択になります。
①健康保険任意継続は退職から20日以内の手続きが必要です。
なお、健康保険任意継続を行う場合、健康保険の加入期間が2か月必要です。
就職してすぐ退職する場合は、任意継続できない場合があるので気をつけましょう。
ま②国民健康保険は退職から14日以内に役所の国民健康保険課で手続が必要です。
③の家族の扶養は特に期限ないけれど、早めの手続き必要です(家族が健康保険か国民健康保険に入っているかでも手続き異なります。)。
健康保険の保険料は意外と高額です。手続きできる期限も短いので、どの保険が安いかよく調べてから手続きを行いましょう!
国民年金の加入手続き
働いているときは厚生年金保険料として給料から年金保険料が天引きされていましたが、退職後は国民年金に入らなければなりません。市区町村の国民年金課で手続きをします。
しばらく会社勤めしない場合は、国民年金は一括で納めると少し安くなります。
国民年金の納付書が届く際に同封されているお知らせをよく読んで、可能なら前納一括納付がおすすめです。
住民税の納付
退職後、しばらくすると住民税の納付書が届きます。
給料から天引きされているのがストップした分を自分で納めなければなりません。
住民税は前年末の住所の市区町村から納付のお知らせが届きます。
今住んでいる市区町村ではなく、前年の12月31日にどこに住んでいたかで決まるのでそのまま納付してかまいません。
今住んでいる市区町村から二重で住民税を払えとは言われません。
まとめ
- 会社に返却するものは遅滞なくスムーズにするのがマナー
- 会社から受け取るものはいつ頃もらえるか確認して不安を残さないように
- すぐに再就職しない場合は保険の手続きを期日までに行うことが重要!
退職後に慌てないように、退職を決めたら素早く確認・行動しましょう!
最後まで読んで下さりありがとうございました。今日も一日お疲れさまでした!