時間外の勉強会に残業代が出ないのって、何だかおかしい気がしますよね。
今日は、残業代が出る時間外の勉強会と、残業代が出ない時間外の勉強会の違いについて解説していきます。
そもそも勉強会ってすべて仕事なんじゃないの?
実は、定時後の勉強会でも残業にならないものがあります。
勉強会が残業になるかならないかは、勉強会が「労働時間」であるかどうかで決まります。
労働時間は、「使用者の指揮命令下に置かれている時間のこと」「使用者の明示または黙示の指示により業務に従事する時間のこと」を言います。
勉強会の場合、業務上、参加が義務付けられていない、完全自由参加の勉強会の場合は労働時間になりません。
労働時間ではなく、残業代が出ない勉強会とは?
勉強会や研修で労働時間にならないのは次の要件を満たすときです。
- 完全に自由参加であること
- 不参加により仕事に支障がでないこと
- 参加しない理由を問いただされないこと
- 不参加により懲戒処分や評価が下がったりしないこと
- 研修内容のレポートなどが提出不要であること
①~⑤を満たす場合は残業代が出ない勉強会なので、未払い残業はありません。
ただし、勉強会参加の無言な圧力が上司からある場合は、労働時間になるかもしれません。実際は、強制されたということを証明するのが難しいので、勉強会に出席するけどちゃんと残業代を払ってほしいと交渉するしかありませんね。
参加者が試験料補助や弁当支給などが優遇される場合は?
参加の強制はしておらず、参加しないことで不利益な扱いをされないなら、終業後の夜間に勉強会を行うために、弁当を会社が用意してくれている場合でも労働時間になりません。
お弁当が出る≠勉強会に出ろという指示ではないので、参加不参加の自由意志は尊重されています。なので労働時間にはなりません。
また、自由参加の資格取得のための研修会については、その資格がなくても業務に支障がない場合、労働時間になりません。
資格取得のための受験料の補助があっても、資格取得しない人に罰則があるわけではないので、参加しないことが不利益になるとは言えません。
資格を取得できたら「資格手当」がもらえる場合も、研修会に参加≠資格手当が付くではないので、資格取得や研修参加は本人の自由なので、労働時間になりません。
勉強会で会社の設備や備品等を使う場合は?
会社からの指示や命令で練習しているわけでなければ、会社の設備や備品を無料で使わせてもらっていても、自分で申し出た自主練習については、労働時間になりません。
あなたが残っていることを会社が把握している≠残業であり、残業を黙認しているとはなりません。会社から自主練を命令されたのではなければ、それは残業になりません。
美容師の方が行う終業後の勉強会は、すごくグレーです。少なくともアシスタントがスタイリストになるまでの勉強会については、労働時間かと思います。
勉強会に参加しないと資格はあっても、お店ではスタイリストとして認められない場合が多いです。そう考えると、スタイリストになり自分の固定客がつくまでの勉強会はスキルアップのためほぼ業務命令の勉強会で残業代が支払われるべきではないかと思います。
スタイリストになった後、流行のヘアスタイルを学ぶための任意参加の勉強会は、そのお店ごとトップがどのように勉強会参加を説明するかによって異なります。あなたの会社の勉強会の実情をよく確認してみてください!
会社が講師を招待した勉強会は?
英会話講習を行った場合、英会話が業務に関係なければ、たとえ会社費用を負担して講師を招いた企画たどしても、任意参加ならば労働時間になりません。
講師を招く≠勉強会出席を強要されているわけではないという理由からです。
実際のところ、任意参加の勉強会に出席する=やる気があるとプラス評価されるというのはあり得ます。
勉強会に参加しないことのマイナス評価は禁止でも、勉強会に参加することが好印象につながるかもしれません。上司も人間なので評価は日ごろの印象で左右されることは把握しておきましょう。世の中って理不尽ですね…。
労働時間になり、残業代が出る勉強会とは?
労働時間になり残業代が出るはずの勉強会の条件は次の通りです。
- 参加するよう会社から指示されていること
- 参加しないと通常の業務を行うのに支障があること
- 参加しない場合、上司の承認が必要なこと
- 不参加により懲戒処分や評価が下げられること
- 研修内容のレポートや報告書の提出が必要なこと
①~⑤のどれかに該当すれば、それは労働時間になります。
業務時間外に行われる勉強会なら、残業代を貰う権利があります。条件を満たしているのに残業代が出ていなければ、それは未払い残業に該当します。
ただし、勉強のまとめのテストを別日程で行うため、テスト日までの間に復習したりテキストを読み返す時間は基本的に残業時間になりません。
下地となる基礎の勉強をさせてもらったので、勉強内容を定着させるのは自助努力とするのが妥当です。
休日に社外で行われる研修の出席指示は労働時間?
休日に社外研修に出席するよう指示され、研修参加の報告書を書かなければならない場合、休日の研修は業務指示で、残業(もしくは休日労働)になります。
「休日の研修出席を了承したなら、それは自発的な勉強であり、仕事ではない!」と上司が言うかもしれませんが、それは間違いです。
会社には、労働者に残業や休日出勤を命令する権利があります。その権利を行使して、あなたに休日労働を指示したのです。
職場に来て通常の業務を行わせることだけが、残業の指示ではありません。
参加しないと仕事が分からないから出席した研修は?
あなたが担当する業務について、あらかじめ先輩社員からその業務を行っているところを時間外やシフトで休みの日に見学しなければ、実際に業務を行うことができない場合、その業務見学は、労働時間です。
「一人前になるために、自発的に見学とか行動して勉強してもらわないと困るよ。いちいち残業代を払っていては会社は潰れるよ!」と上司が言ったとしても労働時間であることに間違いありません。
ただし、何度も仕事中に仕事を見学して、それでも上手くできない部分がある場合、自発的にもう一度確認のため見学するという場合は、自主練の扱いで労働時間にならない場合もあります。
100%完璧にできるまで、研修や勉強を労働時間に組み込めるとも言えません。
同じく研修を受けた同期のうち、8割が1回でできるようになったのに、3回研修を受けてもできないならば、仕事中に勉強する以外にも、プライベートの時間で復習や自主練をする必要があるかもしれませんね。
業務とは関係ない、社内の避難訓練に参加した時間は?
最初に、会社の指揮命令下にあることを労働時間といいました。しかし避難訓練の場合は話は別です。
消防法により、会社は安全確保のため避難訓練を行う義務があります。
実施義務がある避難訓練は、労働時間に該当するので時間外に避難訓練を行う場合は残業代を貰う権利があります。
あまり知られていないですが、ぜひご確認ください。正直、避難訓練は業務時間内に行ってほしいな、と思いますけどそれは個人的な感想です…。
まとめ
あなたが出席している(出席させられている)勉強会は、労働時間でしたか?
会社の慣習で労働時間になっていないけど、本当は労働時間である勉強会はたくさんあります。
仕方ないと泣き寝入りするのか、会社に改善を求めるか、勉強会分の残業代を払わない会社に見切りをつけるか、あなたにとって最良の選択が何か検討するきっかけになれば幸いです。
最後まで読んで下さりありがとうございました。今日も一日お疲れさまでした!