4月の給料を見たらちょっと減っている?何で?と思ったら「健康保険料」の欄が原因かもしれません。
4月の給料の手取減少についてまとめてみました。
4月は健康保険の保険料が変わる月
毎年「健康保険料」の保険料率が見直しされています。見直しされた健康保険料が給料から天引きされるのが4月の給料からなのです。
4月の健康保険の金額には昇給や残業代の多い少ない、税金扶養家族の有無など全く関係ありません。
あなたが加入する健康保険で決められた保険料率が、自動的に給料から引かれる健康保険に反映されて「健康保険料」が高くなります。
つまり、勝手に保険料率が変わって勝手に天引きされる健康保険料が高くなるのです。4月の給料の振込額が少ないのは、健康保険が高くなったせいなのです。
保険料率は急激に上がったりはしません。健康保険料が高くなったとしても数百円~千円位の上昇です。コンビニスイーツを1,2回我慢する位の負担増だと思ってください。
もう少し詳しく説明したいと思います。あなたが会社から渡された「健康保険証」を見てください。
全国健康保険協会の保険証を持っている人
保険証の下の方に記載されている、保険者名称が「全国健康保険協会 ●●支部」と書かれている人は、通称「協会けんぽ」と呼ばれる健康保険に加入しています。
全国健康保険協会(=協会けんぽ)は都道府県ごとに健康保険の保険料率が異なります。
保険者名の「●●支部」に書いてある都道府県ごと保険料率が異なるのです。この都道府県は、あなたの勤める会社の本社の所在地によって決まります。
協会けんぽの場合、都道府県ごと使われる医療費によって保険料率が決まります。医療費が高額な都道府県は高い保険料率が、医療費が少なめの都道府県は低い保険料率が使われます。
地域によっては昨年よりも給料から天引きされる健康保険料が安くなることもあります。
●●保険組合の保険証を持っている人
保険証に書いてある保険者名称が「●●保険組合」となっている方は、都道府県に関係なく、会社の業種や会社自体が持っている独自の健康保険組合、通称「組合健保(くみあいけんぽ)」に加入しています。
組合健保ごとに保険料率が異なります。毎年4月天引きの保険料から保険料率の見直しが行われます。
組合健保の加入者が使った医療費と徴収した健康保険料の収支によって保険料率が異なります。協会けんぽと同様に健康保険料率の高い低いは自分で選んだり・調整することができません。
健康保険料って何のために払っているの?
健康保険料は病気やケガなどの不測の事態に備えるための公的保険です。病気やケガをしたときの治療費の補填や、治療や出産により働けないときの生活費の補填という保険給付をしてくれます。例えば…
- 病院に掛かったときの医療費を3割負担にしてくれる
- 病気になって働けないときの生活費「傷病手当金」をくれる
- 産前産後休業で働けないときの生活費「出産手当金」をくれる
- 万が一死亡したときに「埋葬料」を遺族にくれる
など健康保険に加入することで、これらの給付を受けることができます。健康保険に入っていないと、病気やケガをしたときに膨大な医療費が掛かってしまいます。
日ごろから保険料をきちんと払うことで、いざという時に安心して治療を受けられるのも健康保険のおかげなのです。
日本では「国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)」というルールがあります。日本国民はだれでも何か健康保険に入らなければならないというルールです。
会社勤めなら協会けんぽや組合健保、公務員なら共済組合、自営業や働いていない人なら市町村の国民健康保険というように健康保険は入らなければいけません。
健康でめったに病院に行かない人にとって健康保険料は高く感じますが、万が一の時のための保険なので、しっかり健康保険を払っていきましょう。
健康保険料ってずっと高いままなの?
会社勤めの場合、あなたの給料によって健康保険料が決まります。
給料が高いと健康保険料も高くなります。
健康保険料が高くても安くても、病院に行ったときにかかる自己負担は3割で変わりありません。健康で病院に1年以上行ってなくても保険料は変わりません。あなたの給料額だけで、健康保険が決まるのです。
健康保険料は、標準報酬月額(ひょうじゅんほうしゅうげつがく)という等級に保険料率を掛けて計算します。この標準報酬月額は、基本毎年10月に変更されます。
10月と4月以外の変更後は基本的に健康保険料は同額です。
標準報酬月額×保険料率=天引きされる健康保険料
- 標準報酬月額=基本毎年10月に変更(たまに10月以外もアリ)
- 保険料率=毎年4月に見直し
4月と10月に健康保険料の天引き額が変わる可能性大!!
注意して給料明細をチェックしてみましょう!
ちなみに標準報酬月額は、毎年4月5月6月の給料の平均額をもとに計算されます。4月5月6月にたくさん残業して残業手当が多くなると、標準報酬月額がちょっと高めになることもあります。
健康保険のために4月5月6月の給料を低くするのもいいですが、あまり考えすぎるのも大変です。残業しすぎにちょっと注意する位でもいいかと思います。
平均の給料を出しても、標準報酬月額の仕組みは複雑です。数千円~数万円の幅をもって等級が設定されているので、「4月5月6月給料を●円にすればあなたはOK!」とすぐに説明できません。
ルールは知らないより知っていた方が安心だな、という程度に読んでいただければ幸いです。
実は健康保険は半分会社が払っている
条件を満たす社員を会社は健康保険に加入させる義務があります。条件は、週30時間以上働いているというものです(※状況ににより条件は異なります)。
会社を通じて健康保険に入るため、会社が社員の健康保険料をまとめて納めます。会社が社員からもれなく健康保険料を回収するため給料から天引きするのです。
いったん支払われた給料から、あとで保険料分を現金で払うのって嫌ですよね?最初から天引きされていた方が生活のやりくりしやすいのでありがたい制度だなと思います。
しかも、あなたの給料から天引きされる健康保険料と同額の保険料を会社が支払っています。会社勤めだと、健康保険料の負担が半分会社持ちになりあなたの自己負担が半分になっているのです。会社員って意外と優遇されているんです。
退職後に今加入している健康保険を続けるときは、会社の半分負担がなくなります。今の健康保険を続けるためには、退職後は給料から天引きされる倍の健康保険を支払わなければならなくなります。
会社員って勝手に健康保険料を天引きされたり、勝手に保険料が変わったりするけど、保険料の半分は会社が負担してくれてラッキーと知れば、4月の給料がちょっと減ってもモヤモヤしなくなりますね。会社員も悪くないんだと前向きにとらえましょう!
まとめ
4月振り込まれた給料がいつもよりちょっと少ないのは健康保険料の天引きが増えたから!
健康保険は病気やケガの時安心して治療を受けられる大事な保険なので、保険料アップは仕方がないと諦めて天引きされるのを受け入れましょう。
最後まで読んで下さりありがとうございました。今日も一日お疲れさまでした!