出張って朝早くから移動して、結構大変ですよね。
なのに残業代が出ないのはおかしい気がする…。出張と労働時間の考え方についてまとめてみました。
出張の移動時間が労働時間にならないケース
労働時間は使用者の指揮命令下(しきめいれいか)にある時間のことを言います。
指揮命令下は「仕事の指示を受けている」ということです。つまり業務命令がある時間のことです。
そのため、会社にいても仕事をしなくていい休憩時間は労働時間ではありません。
また、通勤時間も仕事の指示を受けていないので労働時間ではありません。
そして、出張のための移動時間も「移動しながら●●という業務してください」という指示がないので原則として、労働時間ではないです。
例えば、飛行機に乗って出張の場合、搭乗までの間の時間は自由時間です。
ご飯を食べてもいいし、椅子に座ってウトウトしてもいいんです。ご当地のお土産を見回るのも自由です。移動時間中は業務指示なく、自由なので労働時間にならないと言われています。
始業時刻が8:00の場合の例
6:00 家を出発
7:00 新幹線駅へ到着。カフェで休憩
7:30 出張先へ向かうため新幹線に乗る
9:30 出張先へ到着
この場合、朝6時から業務開始!な気分ですが、実際は定時の8:00に直行で業務開始となります。
せめて、7:30の新幹線に乗るタイミングが業務開始では?と思うかもしれませんが、移動時間は業務開始の起点にはなりません。
実際は、移動中に訪問するお客様に対する説明資料を読み返したり、メールの返信をしたり、仕事をしていることもあると思います。
しかし今のところの判例では、労働時間として認められていません。
出張の移動中は仕事をするだけ損なのかもしれません。移動時間=休憩と思ってのんびり過ごしちゃいましょう!
出張の移動時間が労働時間になるケース
レアなケースですが、出張の移動時間が残業になるケースがあります。
出張中、通常の残業時間に移動し、お客さんのところに訪問する場合です。
17時が終業時刻の場合…
16:00 A社訪問(17:00まで打ち合わせ)
17:00 移動(A社からB社まで)
17:30 B社訪問(18:00まで打ち合わせ)
18:00 移動(新幹線で直帰)
21:00 帰宅
この場合、最後のお客さんのB社を出発する時刻18:00までがこの日の労働時間です。17:00が終業時刻の会社なら、18:00までの1時間は残業時間になります。
出張中でも、最後のお客さんのところから出発する時刻が終業時刻です。
通常の残業時間と同様に、お客さんを出発する時刻まで残業代が支払われます。
A社からB社までの移動時間は、出張中の移動時間でも労働時間になります。この時間をカットして、移動の30分を残業から減らされることはありません。
休日の移動で前泊の場合は?
遠方に出張のため、仕事の前日である休日に移動して、前泊。翌日の勤務日に備えることって起こりうるケースですよね。
残念ながら、休日の移動日は、労働時間になりません。
例を見ていきます。
日曜日が休日の会社の場合の例。
日曜日:13:00から移動
18:00にホテルに到着
月曜日:8:00にホテルを出発
9:00からお客さんのところへ
日曜日は、単なる移動で、仕事はしていません。
そのため、休日労働手当は支払われません。残業代も、13:00から18:00までの移動にかかった5時間分の時給も支払われません。
このケースでは、休日(日曜日)の移動中は、どんな時間に移動しても、どの交通手段を使うかも自由で、移動中に業務指示がないです。
前半に出てきた例と同じく、移動時間の自由が保障されているということで労働時間になりません。
逆に言うと前泊の場合、朝から移動して出張先で観光するのも、指揮命令下にないのなら基本的に自由なはずです。何か楽しい予定を作り出張を楽しみたいですね。
まとめ
直行直帰の出張は原則残業代が出ません。出張は、移動の大変さより、現地でおいしいものを食べるなど、楽しいことに注目して乗り切りたいですね。
出張の嫌なことと言えば、ハードスケジュールなのに、「●●さんって、出張あってズルいですよね~遊んでるんじゃないですかぁ~?」と嫌味を言う人がたまにいることです。そういう能力のない人は無視してしまいましょう!
「出張って大変なの、例えば~」とあなたのツラさを説明し、理解してもらう必要ありません。絶対その人はあなたのツラさを理解できませんよ!
出張を頑張っていて本当にお疲れさまです。最後まで読んで下さりありがとうございました。今日も一日お疲れさまでした!