健康診断は有休消化か休日に実施している…。
普通は業務時間中に健康診断を行うべきなんじゃないの?健康診断中は労働時間なのかどうか考えてみました。
健康診断の時間分、有休消化は変じゃない?
実は、健康診断は労働時間にする義務は法律上ありません。
健康診断を受けた日に、有給休暇が減ることは法律上問題ありません。
また、休日に健康診断を実施し休日勤務手当が支払われないのも問題ありません。
健康診断に関する法律上の定めは下記の通りです。
- 会社は、雇い入れ後1年以内ごとに1回、定期的に健康診断を受診させなければならない
- 会社は健康診断の費用を負担しなければならない
- 従業員は健康診断の必要項目を受診しなければならない
健康診断は正式には「一般健康診断」といい、一般的な健康確保が目的で実施の義務があります。
一般的な健康確保のための行動(=健康診断)は業務と関連がないので、労働時間にすることが義務になっていないのです。
(例)午前中有休を使って、午後から出社した →有休が0.5日減る
(例)午前中有休を使って健康診断、終わり次第自由! →有休が1日減る
どちらも健康診断と有休の消化の方法として正しいです。
多くの会社で、健康診断に必要な時間にも給料を支払っているのも事実です。
厚生労働省のQ&Aでも、円滑な受診のため、健康診断の受診に要した時間の給料を会社が支払うことが望ましいという回答が出ています。
社内で誰かが異議を唱えて、健康診断中も有休が減らずちゃんと給料を払ってもらえるようになることを祈るしかないですね。
ちなみに、健康診断には「特殊健康診断」というものもあります。
こちらは、有害業務を行う人に対する健康診断で、特殊健康診断は受診にかかる時間を労働時間として給与を支払わなければなりません。
特殊健康診断受診日は有給にはできません。
有害業務とは?…有機溶剤の業務、高圧室内業務、除染等業務、放射線業務など特殊な一部の仕事に携わる人だけが該当するので、あまり該当する人はいないかもしれません。
健康診断分の休日手当や特別休暇を請求したいな!
残念ながら、休日に健康診断の時間分の休日手当の申請をしても休日手当は貰えません。
自分の有給休暇を減らさずに、健康診断受診用の特別休暇を貰うこともできないでしょう。
健康診断の時間を労働時間にするかどうか(=給料を払うかどうか)は、労使間の協議の上決定するべきこととされています。
従業員が円滑に健康診断を受けられるように、健康診断の時間は労働時間とするよう推奨はしていますが労働時間にする義務はありません。
労使間の協議とはいえ、健康診断の時間に対し給料や休日手当の支払いの有無は会社の経営判断で一方的に決められることがほとんどです。
念のため、2,3人の同僚に休日の健康診断の時間に休日手当を貰えたか確認しましょう。たまに、要領が良くて揉めると面倒くさそうな人に対して、秘密で手当を支給していることもあります。
同僚も休日手当を貰っておらず、
「休日に健康診断受けた分、休日手当の申請してください。」
と会社から言われていないなら休日手当は出ないと諦めるしかないです。
健康診断を受診するために病院に行った交通費も会社負担・本人負担は自由です。
健康診断に行くための交通費が出ないことも違法ではありません。
法律で定められた項目の健康診断費用以外は、会社が負担する義務はありません。
オプションで付けられる追加の検査項目も会社が負担する義務なく、自己負担も違法ではありません。
一般健康診断の実施義務があるのは、下記3種類の働き方の人です。
- 正社員
- 無期契約労働者もしくは契約期間が1年以上の有期契約労働者
- 正社員の週所定労働時間の4分の3以上働くパートタイム労働者
もっと短い時間で働くパートさんは健康診断受診させる義務がない人です(もちろん、パートさんにも実施が望ましいとされていますが…。)。
休日手当が出なくても、健康診断に要する費用は会社が負担してくれるんだし、ありがたいこと、と謙虚な気持ちでいたほうが精神衛生上は良いですね。
会社に自分の健康診断の個人情報を渡したくない!
労働安全衛生法では
「健康診断の結果、異常所見がある者は、医師の意見を聞き、必要に応じて就業制限を行うなどの措置をとらなければならない」
と定めており、会社は健康診断の結果の報告を受けます。そして健康診断の結果は5年間会社で保管されます。保管も会社の義務です。
会社で健康診断の情報を知るのは、就業上の措置を実施する上で必要最小限とすることが定められています。
例えば、人事担当や管理監督者、健康診断結果の保存管理をする人などです。
健康診断で異常があった人に普通に仕事させておいて、病気になってしまったら大変ですから、仕方のないことです。
しかも常時50人以上の労働者を使用する会社は、健康診断の結果を労働基準監督署に報告する義務があります。社員に健康に働いてもらうため必要な措置なのです。
会社が適切な情報管理をしてくれていると信じるしかありませんね。
健康診断の再検査しろって圧力がすごいんだけど…。
健康診断の再検査通知が来たとき、会社から再検査を受けろと言われたことありませんか?
労働安全衛生法上は、会社の再検査の実施義務と社員の再検査の受診義務はありません。
再検査の受診については本人の判断に委ねられています。
当然会社から再検査費用の支給義務もないので、自己負担で再検査を受けることになります。また、再検査の結果を会社に報告する義務もありません。
会社には、社員が安全・健康に働けるように配慮しなければならない「安全配慮義務」があります。そのために呼びかけをしているのでしょう。
あまりにしつこく再検査を要求してきたり、再検査結果の提出を求めてくるときは、「自己判断で受診するので、これ以上の声掛けは大丈夫です。」とやんわりお断りして大丈夫です!
まとめ
健康診断を受けるときに有給休暇を消化される場合はあります。それは違法ではありません。ちょっとケチな会社なんだな、とあきらめるしかないですね…。
最後まで読んで下さりありがとうございました。今日も一日お疲れさまでした!